こんにちは。イラストレーター・デザイナーのkisa(@kisa.ne.jp)です。
アートはよく美術館やギャラリーで観るかと思いますが、開館時間が大体午前中から17時くらいに閉まるところが多いです。
それが17時以降もがっつり鑑賞できるアートのお祭りが、4年ぶりにオールナイトで開催されました。
ということで今回は、遅報レポートとなりますが5月27、28日に開催された「六本木アートナイト2023」についてまとめました。
Contents
- 1 六本木アートナイトとは
- 2 六本木アートナイト2023の見どころ
- 3 六本木アートナイトの楽しみ方
- 4 さいごに
六本木アートナイトとは
六本木アートナイトは、六本木の街全体を美術館に見立てた一夜のアートの祭典です。
現代アート、デザイン、音楽、映像、パフォーマンスなど、さまざまな作品が街なかに溶け込みます。
2009年3月から始まり、今年で16回目の開催となります。
2020年、2021年はコロナ禍の影響で中止され、2022年は縮小バージョンでの開催でしたが、今年はついに六本木アート「オール」ナイトで、5月27日(土)から28日(日)にかけて開催されました。
国立新美術館は20:00まで、21_21DESIGN SIGHTは22:00まで、森美術館や東京シティービューにいたっては翌6:00まで開館しているという、異世界のような錯覚に陥ります。
六本木アートナイト2023の見どころ
栗林隆+Cinema Caravan《Tanker Project》
メインプログラムの六本木ヒルズアリーナに広がる栗林隆+Cinema Caravanワールド。
360度見渡す限り何もない大海原に、何十という大きなタンカーが座礁し捨てられていた風景の中で、栗林氏の妄想から始まったタンカープロジェクトです。
タンカーたちは、嵐や台風の影響でその場所を離れ、世界中の海を彷徨っている。渡り鳥は休むためにとまり、彼らが連れてきた生き物や植物が根を下ろし、やがて船全てを覆うほどの森となる。世界中の植物や生き物達がそのタンカーの上で育ち続け、一つの大きな生態系を作りタンカーの世界を作り上げる。
この想い、アートエネルギーを船に乗せて世界中に届ける、という壮大なインスタレーションが、深夜だからこそより幻想的な空間に見えました。
YATAI TRIP
栗林氏のライフワークでもある、対話を誘発するYATAI(屋台)という装置を使ったアート作品。
水ぬれ注意って、植物は水ぬれ必要ではと思いましたが真意はいかに…
謎の長蛇の列
人々が謎の空間の中に入り長蛇の列になっている、しかしなんなのかはどこにも書いておらず。
並ぶのは嫌いな自分と好奇心旺盛な自分、勝ったのは好奇心旺盛な自分、ということで謎の列に並んでみました。
この空間に入る直前に、男性がスタッフさんにこの正体を聞いており、答えを知りました。
スチームサウナー!
ただし稼働はAM3:00〜4:00。
ドイツ・カッセルで5年に1度開催される世界最高峰の国際美術展『ドクメンタ15』に、Cinema Caravanと共に参加した《元気炉》という作品です。
聞いただけでハッピーな気分になるネーミングセンス。
タイトル通り人を元気にするアート作品で、上質な薬草スチームサウナです。
さすがにその時間まで待てなかったので、空間だけ楽しみました。
さらっと描かれたイラストがかわいいスチームサウナ製造マシーン。
JAZZY SPORT HEAD QUARTERS 《DJ Time》
ズンズンズンズンと鳴り響くビート。
音の先には、身体を目一杯使ってはしゃぎまくる外国人。
蚊帳に映像が投影された、アウトドア的なクラブが爆誕していました。
幻想的なパレードClose-Act Theatre(クロースアクトシアター)《White Wings(ホワイトウイングス)》
この存在感、臨場感をご覧ください。
1番のお目当てだった、ホワイトウイングスのパフォーマンス。
身体が少々ダルくて引きこもっていようかと思ってましたが、本当に来てよかったです。
Close-Act Theatreは1991年に設立し、オランダを拠点に世界中で活躍するパフォーマンスカンパニーです。
背高で白い翼をまとった幻想的なキャラクターが優雅にウォーキングし、我々は魅了されるしかありません。
羽を広げると相当なダイナミックさで、歓喜が響き渡ります。
うまく撮ることができませんでしたが、黄色の衣装に身を包んだ歌手も登場します。
異次元の空間に誘われて魔法をかけられたかのような、見たことない不思議なパレードで、クライマックスを迎えたあとは魔法がとけるように幻影が消えて、現実世界に戻った感覚になりました。
エマニュエル・ムホー《100 colorsno.43「100色の記憶」》
00色の層が重なり合い、年号が浮かび上がるという、記憶を辿るインスタレーションです。
プレートの層は2023から2003まで、奥に進むほど過去の年月を表し、一番手前の層は現在の新たな記憶を表現しています。
虹色の色とりどりの空間で思い出を振り返り、時間の移り変わりを感じることができます。
真っ暗な夜とのコントラストで惹き込まれました。
江頭誠 《DXもふもふ毛布ドリームハウス》
作者の一人暮らしの部屋に友人が来たとき、実家から持ってきた毛布をダサいと言われ、今まで気に留めていなかったロココ調の花柄が急に恥ずかしく、意識せざるを得ないものになったことから作品に使用するようになったようです。
今回はリカちゃんハウスをモチーフに、かつての憧れの西洋の高級感を演出した花柄毛布が、憧れのドリームハウスとして君臨したアート作品です。
傘やギターまですべてモフモフでカワイイ世界観が表現されています。
大小島真木 + Maquis 《SHUKU》
直径1メートルほどのミラー貼りの正十二面体オブジェを中心に、ガラス造形、鉄工、植物、LED照明、音響などを交えた未来的なインスタレーションです。
日本各地に伝わる謎の古神“シュク”の現代的な憑依媒体として、自然物と人工物、有機物と無機物、人間と他種が境なく混じり合った「サイボーグとしての御神体」が表現されています。
ちなみに奥のQRコードも読み込むと作品の詳細説明のサイトに飛びます。
この写真からでも読み込めます。
サントリーウイスキー響
サントリーのウイスキーづくりが今年で100年目を迎え、それを記念して「美」をテーマにした一夜限りのアートラウンジがオープンしていました。
六本木からもキレイに見える、夜空に映える東京タワーのような美しさがあります。
鴻池朋子《武蔵野皮トンビ》
国立新美術館に《武蔵野皮トンビ》が展示されていましたが今回は行けていなかったので、以前訪れた所沢の角川武蔵野ミュージアムに展示されてあるバージョンをシェアします。
人間と動物ー自然の関係性を思い出させ、資本主義社会では商品化されない切れ端として捨てられる運命だった皮を用いて作られています。
雨風と陽光によって色や形を変えてきたトンビは、自然は時と共に変化するというメッセージ性のある作品です。
隈研吾建築「角川武蔵野ミュージアム」のプロジェクションマッピングや展示がすごい
インビジブル×日本フィルハーモニー交響楽団 《クラシックなラジオ体操》
4年ぶりのオールナイトということで、「クラシックなラジオ体操」が復活しました。
早朝5:30から開始ということで、私は帰ってしまったので、2017年のラジオ体操の様子がYouTubeでアップされていたものをシェアします。
学生のときの夏休みにスタンプカードを持っていってたのが懐かしい…クラシックバージョンだと大人のラジオ体操という感じで優雅です。
第二体操まであるのかと、つられて笑ってしまいます。
赤坂リッカールトンでは、六本木アートナイトプランがあるので、ホテルに泊まってラジオ体操に参加するのも憧れますね。
六本木アートナイトの楽しみ方
六本木交差点にアルミホイルをぐちゃぐちゃしたような作品がありました。
ちょうどその後ろにも二輪に乗った生身の人間が映り込んでいます。
ミッドタウンの花壇のようなスペースには、子犬とベランダ付き犬小屋の作品が目を引きました。
この他にも街中にたくさんのアート作品が点在していました。
六本木の街全体を使った巨大美術館にいるかのような気分で、作品のある場所ある場所、次々と回遊しながらアートを鑑賞していくこと、そして深夜にアートを鑑賞することで違った雰囲気や高揚感を味わえるのが、アートナイトの楽しみ方です。
他にもアートナイトをモチーフにした限定メニューなどもあるので、カフェやレストランで休憩しつつ、昼から深夜まで存分に時間を取って楽しめます。
また、事前に公式サイトで開催年毎のページが作られているので、そこで観たい展示やMAPをチェックしておくとスムーズに回れます。
でも、逆にあえて詳しい情報を入れずに「アート探しの旅」として参戦するのもありですね。
https://www.roppongiartnight.com/2023/
さいごに
コロナ前の状態に戻ったレベルの大盛況ぶりですごい人混みでしたが、お祭りらしくてそれも一興かとも思いました。
毎年テーマ内容が変わり、六本木界隈がアート色に変身する様を観られるのはなかなかない、大規模で楽しいアートイベントでした。
ですが通常の美術鑑賞とは違い、こういったイベントはぼっち参戦だとちと寂しいかと思いますので(実体験)、一緒に楽しめるアート好き仲間が欲しい!という方は、下記アート版マッチングサイトを活用してみてください。
アート活動マッチングサービスartner