アートを心理学の観点から捉えたアートセラピーは、自由に表現したものから自分でも気がつかなかった一面を知ることができたり、心のケアをすることができます。
今回は、「アートセラピーをやってみたい」「アートセラピーの資格を取得したい」という方向けに、「風景構成法」というやり方を用いたアートセラピーとおすすめの講座についてお伝えしていきます。
Contents
アートセラピー「風景構成法」とは
アートセラピーとは、主に欧米の精神医療の中で研究された心のケアに役立つ心理療法で、日本語で「芸術療法」と呼ばれています。
アートセラピーのやり方は、素材を切り貼りしてコラージュする方法や、箱庭に小さなおもちゃ入れる方法など、色んな方法があります。
その中でも「風景構成法」という方法は、心の中を網羅的に分析でき、用意するものも身近なものなので、簡単に行うことができます。
風景構成法は、1970年、精神科医でユング系研究者の中井久夫氏が箱庭療法をから着想を得て開発されました。
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風景構成法のやり方
紙と描くものを準備する
A4サイズや四つ切りの紙を準備し、横長でも縦長でも好きな向きにします。
そして描くツールも自由です。
黒ペンで絵の輪郭を描いて後から色鉛筆などで塗ってもいいですし、初めからクレパスなどで描き進めてもいいです。
黒の枠を描く
まずはじめに、紙に沿って四角い枠を描きます。
白紙に描くよりもリラックスした状態で描くことができます。
10項目+αを描く
10項目は、川、山、田んぼ、道、家、木、人、花、動物、石です。
10項目以外に何か足したいものがあれば自由に描いて、風景画として完成させます。
数や色、存在しないものなど、特に制約はありません。
真っ白いキャンパスに、何を描くのも君の自由さ
昔先輩からもらったポエムより引用
絵が描けたら裏面に日付を書きます。
絵の分析、フィードバック
その絵の印象がどうかなど、分析します。
複数人ですれば、より多くの客観的なフィードバックを受けることができます。
分析してみよう
全体のイメージを見てみる
紙を四分割したときに、上図のようにそれぞれの位置に意味があります。
どこかがスカスカだった場合は、その位置のものが欠乏していることになります。
右下がさみしい印象なら、愛やスキシンシップに飢えているという意味です。
また、明るい絵なら性格や現状が明るいということになり、暗い絵ならその反対になります。
ピカソの「青の時代」もまさに悲しいことがあったときの作品なので、絵は人の内面を如実に表します。
シンボルの解釈例
■川(精神・無意識)
・キレイで穏やかな川なら精神が安定していて、濁っていたり飲み込まれそうな川なら感情も濁って破綻を感じている
・川が未来方向に流れていたら目標に突き進んでいるか過去から逃げている、過去方向に流れていたら昔は良かった、復旧を表している
■山(性格)
・山右上に高い山やいくつもある場合、将来が見えないことを表し、未来のことに対して疲れたイメージを持っている
・尖った山は父性を表し、丸い山は母性を表す
■田んぼ(仕事・職業)
・田んぼの面積が大きいほど、人生の中で仕事が占める割合が大きいことを表している
・田んぼの中に人がいれば仕事に生きがいを感じているか、または働くしかないと思っている
・茶色は働くことに疲れていて、黄色は収穫期にあることを表している
■道(進路・人生の道)
・一本道はやることがしっかり決まっている
・家と田んぼの間のみの道は働くだけの毎日
・曲がりくねった道は紆余曲折の人生
■家(自分の内面・外面的)
・大きな家は堂々と生きていたり自己顕示欲が強く、小さな家は自信がなく小さくなって生きている
・窓がなければ心を閉じている状態で、広ければ心が開いている状態
・煙突は怒りのシンボルで、煙が出ていれば放出している
■木(エネルギー・状況)
・一本だけ自立しているあるいは孤独
・針葉樹は厳しい人格や状況で、広葉樹は包容力がありおとなしい
・月桂樹は成功を表し、実がなっていると実りがある
■人(人間関係)
・1人は自分、2人はカップルもしくは対立関係、3人は調和が取れているもしくは三角関係
・多数の人がいる場合は人が好きか、もしくは怖い
・棒人間のような表現は、自分や他の人を粗末にしている、人間関係に疲れている
■花(愛・結婚)
・左下にある花は過去にすばらしい恋愛があり、右下の花は相手とのスキンシップがあり恋愛がが好調
・季節はずれの花は非現実的な愛を表す
■動物(自分自身のシンボル)
・猫 受動的、甘え
・犬 攻撃的、忠実
・豚 怠惰、大食い
■石(障害・痛み)
・道沿いの石は進路の障害、川沿いの石はメンタルブロックを表している
・左下の石は過去に傷を負っていることを表し、右下の石はスキンシップに対して痛みがある
■足したもの(重要なメッセージ)
・太陽 希望や生命に溢れている、幼児性
・雲 悩みや憂鬱
・橋 分離されたものを繋ぐ、成功
・車 逃避したい
その他のものは夢辞典やシンボル辞典を参考にして解釈していきます。
描き換えてみよう
問題点がわかったらすべて受け入れて、そこを改善するように埋めたり描き変えたりします。
そして改善された絵を常に見たり更新していけば、目的を達成できたという人が数多くいるそうです。
例えば、田んぼと花畑がそれぞれ川の反対側にあるとしたら、仕事と家庭の両立は無理と感じているので、橋を書き加えることで行き来でき、改善できます。
また、右上ではなく左上になだらかな山を描いてその山に続く道を描けば願望に向かって進めるという改善になります。
今回の内容は、下記の本を参考にさせていただきました。
実例を交えて詳しく解説されているので、興味がある方は読んでみてください。
アートセラピーの資格取得ができるオンライン講座
本格的に学びたいという方は、日本統合医学協会が監修するアートセラピーのオンライン講座というものもあります。
・自分や家族、子ども、恋人、友人のメンタルの健康のために
・人のために役立つ統合医療の知識を得て、自分の仕事に活かすために
・好きなことや興味関心のある分野の資格を取得をして、生き生きと働けるように
など、セルフケアやスキルアップを目指すことができます。
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さいごに
気の向くままに描いたものがこんな形で自己分析できるって面白いですよね。
ひとりでゆっくり見つめ直すのもいいですが、誰かと一緒にしてみてお互いの絵を見るのも盛り上がりそうです。
(いや結果によってはケンカになるかも…?)
手軽にやってみて本格的にアートセラピーを受けたいと感じたら、アートセラピー体験教室で、知識経験豊富なアートセラピストからさらに詳しく教わるのもいいですね。