こんにちは。イラストレーターのkisa(@kisa.ne.jp)です。
誰もが知るスーパーキュートファンタジー童話、不思議の国のアリス。
そのアリスをテーマにした展示が、六本木ヒルズ森タワーで開催されました。
ということで今回は、アリスのへんてこりんな世界に迷い込んできたのでまとめました。
Contents
特別展アリス −へんてこりん、へんてこりんな世界−
まずはこちらの15秒間で行くことが決定してしまう動画広告。
アリスが誕生したイギリスの、ビクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)で、2021年に開催された世界巡回展に、日本オリジナル要素も加わった大規模な展覧会です。
「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」の物語の枠を超えて、アリスの原点から、現代アート、映画やファッションなど、およそ300点展示されています。
アリスにまつわる展示資料
アリスの作者は、イギリスの博識家で数学者のチャールズ・ラトウィッジ・ドジソンです。(ペンネームはルイス・キャロル)
1865年に刊行され、1871年に続編の「鏡の国のアリス」を発表しました。
元々はドジソンが知人のヘンリー・リドゥルの娘たちに語った即興の物語として始まりました。
まんま名前を取った、次女のアリス・リドゥルが主人公のモデルとなっています。
当時の写真や原画、ボードゲームやオシャレすぎるポット、機関車セットなど、アリスにまつわる貴重な資料が展示されていました。
そして地面のウサギの足跡を辿って鑑賞するという憎い演出。
挿絵を担当したのがジョン・テニエルという人物で、初版や原画、校正刷りなどがずらっと並んでいます。
アリスは世界大戦や世界経済など、政治風刺画としても度々使われていたようです。
確かに無秩序な世界観やハートの女王の処刑が口癖な感じという意味では合っています。
「間違いだらけの国アリス」はうまい…
迷い込んでいく道中作品
展示室から展示室までの道中も原作の世界観に没入できる遊び心あふれる演出です。
展示作品は南アフリカ出身のクリスリデルというイラストレーターであり漫画家の作品です。
金髪三つ編みのマッド・ハッター今風で可愛らしく、黒髪ボブのアリスは斬新です。
アリスが迷い込んだ扉だらけの部屋で、天井には原画に着彩されたものが飾られています。
突き進んで行くと…
カーテンの裏にある小窓を覗くと、上は奥行きのある普通の庭、下はその庭にウサギがいる様子が映し出されていました。
狂ったお茶会・チェシャ猫のインスタレーション
舞台デザイナーのトム・パイパーらが手がけた、物語の狂ったお茶会を表現したインスタレーション作品。
音響とも呼応しながら4台のプロジェクターが机に並んだ食器やテーブルクロスに模様を投影しています。
時間の経過とともに空虚感のあるテーブルが…
思わず目を見開いてしまうほど色鮮やかなテーブルに!!
改めて色は人の気持ちを動かすと感じました。
ぜひ体感してほしい作品です。
突如ビックフェイスのチェシャ猫が現れてインパクト大でした。
くるくると表情が変わって引き込まれました。
映画やポスター広告
続いて映画ゾーンです。
まず大きな鏡があったので見てみるとあれ、自分こんなにずんぐりむっくりだった!?
と思いきや上部には反転したスラっとしたスタイルの自分が映るというありのままを映さない鏡の国!
白黒且つサイレントの元祖アリス映画は、パーシー・ストウとセシル・ヘップワースが製作・監督を務めました。
コンピュータ技術がまだ発達していない時代ですが、チェシャ猫や白うさぎの登場や消え方など巧妙でした。
そこからハリウッドやディズニー、世界で公開された映画が公開されました。
初期の映画と比べてみると、ティム・バートン監督の「アリス・イン・ワンダーランド」はCGや特殊メイクの技術の違いが圧巻で、アリスの映画の歴史を辿れました。
1951年のディズニー映画「ふしぎの国のアリス」のセル画で、やっぱり1番馴染み深いアリスといえばディズニー版。
キングダムハーツというディズニーの世界で遊べるゲームの中で、アリスのストーリーもあり、本当に夢の国から帰りたくないほど没入していましたね。
深い森の中をイメージした「映画になったアリス」の展示室。
アリスが出られなくなった家もあり、子どもなら入れそう
世界のレトロな映画ポスターが並んでいました。
日本公開時は1933年で、昭和の雰囲気が漂っています。
映画以外にも、冷蔵庫やクッキー、トマトジュースなど、幅広いジャンルの広告にアリスモチーフが使われています。
アリスファッション
原作に忠実な内容をはじめ、風刺やパロディーなどアレンジされたものまで、舞台化もたくさんされてきました。
英国ロイヤル・バレエ団公演「不思議の国のアリス」で使われたハートのクイーンやマッド・ハッターの舞台衣装やセット模型が展示されていました。
ハートのクイーンの衣装は舞台でも飛び抜けて目立ちますね。
上半身裸の白ウサギの方も違う意味で目立ちますね。
加えて舞台美術のデザイン画や公演ポスターも展示されていました。
他にもヴィヴィアン・ウエストウッドのアンサンブルや、ヴィクター&ロルフがデザインしたマッド・ハッターの衣装、日本のパンク&ロリータに落とし込んだ衣装などファッションショー感覚で鑑賞しました。
そしてアリスのキャラクターに扮したインフルエンサーたちの写真もありました。
「君もアリスにならないか?」と言わんばかりに。
他アーティストのアリス作品
日本オリジナルの展示として、酒井駒子、ヒグチユウコ氏が描いた作品も展示されていました。
アイスランド出身のクリスチャーナ・S・ウィリアムズというイラストレーターの作品です。
伝統的なヴィクトリア朝の版画とデジタルコラージュの技術を融合させたもので、色づかいや細部までキレイに描かれていました。
展示の最後には…
「起きなさい、アリス! もうお茶の時間よ」
お姉さんの声で、アリスは目を覚まし、気付きました。
これまでのへんてこりんな出来事は、
すべて夢だったのです。
夢みたいな世界は本当に夢だったんかい!
ということで、アリスの世界を存分に体感できました。
アリス展The Macmillan Aliceの原画グッズ
展示を堪能したあとは、グッズコーナー。
The Macmillan Aliceという原画グッズがたくさんあります。
原宿の「水曜日のアリス」という雑貨屋さんでもThe Macmillan Aliceグッズが販売されています。
アリスとチェシャ猫が出会った場面やうさぎのピンズやポストカード。
飛び出す絵本みたいなパッケージデザインに感服です。
モノトーンと背景色がアクセントになった、缶バッチならぬ布バッチ。
「特別展アリス ーへんてこりん、へんてこりんな世界ー」
■東京
・期間 2022年7月16日(土)〜2022年10月10日(月)
10:00~20:00(月・火・水は18:00まで)
※会期中無休
・会場 森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52F)
■大阪
・期間 2022年12月10日(土)〜2023年3月5日(日)
・会場 あべのハルカス美術館
https://alice.exhibit.jp
さいごに
ひとつの童話からここまで色んなジャンル、人に影響を与えたものはないと言っても過言ではないほど見応えがありました。
19世紀のアリスの発端から現代にかけてインスパイアされ続けた多くのクリエイティブな作品に触れて、子どもも昔子どもだった大人も楽しめる展示でした。