先月、駆け込みで東京都現代美術館で開催されたライゾマティクス展を観に行ってきました。
今回は、プログラミング技術を用いた、テクノロジーアートやエンターテイメントのクリエーション「ライゾマティクス」についてお伝えします。
ライゾマティクスとは
2021年で設立15周年を迎えるRhizomatiks(ライゾマティクス)は、アーティスト・プログラマー・研究者をメンバーに含み、開発からオペレーションまで一貫して取り組んでいるチームです。
ライゾマティクスは、現代アートの他に視覚デザインや建築、エンターテイメント、広告などを通して、技術と表現の新しい可能性を繰り広げています。
さまざまな作品・デバイス
演出振付家のMIKIKO氏が率いるダンスカンパニー「ELEVENPLAY」とのコラボレーション作品です。
ダンスステージ空間に映像が映しだされ、5つの立方体が意識を持っているかのように動いていました。
そして、この空間の手前には上映スペースがありました。
そこにはデータ化されたダンサーの動きを、ARのように合成した映像が流れていました。
ダンスステージ空間を映しているカメラも、カメラマンのように動いていて、AIの発達によっておよそ50%の仕事がなくなるというのを改めて考えさせられました。
動画撮影はNGでしたが、YouTubeで展示の様子を1分にまとめたものが公開されています。
液晶画面でロボットの説明を見てからふと外を眺めると、美術館の中庭に本物がモゾモゾ動いててびっくりしました。
人工衛星によって現在地を測位できるロボットで、太陽光をエネルギーにして動いています。
夜になるとレーザーを放つみたいですが、見られなくて残念。
小さな声でも音声認識できるというマスク型のデバイスです。
声をテキスト出力してプロジェクションに表示させることによって、大きな声を出さなくてもコミュニケーションをとることができます。
コンサート会場などで自分の声を届けられて、より盛り上がりそうです。
Perfumeの「GAME」のMVやライブで使われたものが展示されていました。
ライトセーバーは、音楽に合わせて赤や青に変わります。
NIKEのプロモーション「NIKE MUSIC SHOE」で、スニーカーの柔軟性を楽器にしてアピールしたときに使われたものです。
スニーカーにはセンサーが内蔵され、動かすことで音楽を奏でるという斬新な魅せ方です。
ドローンとダンサーの動きを同期させるために使われたものが展示され、実際にこれを使っている様子も上映されていました。
2011年の作品「particles」を、2021年版としてアップデートされた作品です。
8の字状の螺旋になった巨大なレール上を転がるボールによって、空間に像が浮かび上がります。
2011年の作品ではボール自体が発光していましたが、今回の作品ではボールの位置を正確にトラッキングし、レーザーで照射しています。
YouTubeにも少しありましたが、音と光の演出で怖さや懐かしさ、楽しさなど、いろんな感情が引き出されました。
プログラミング部屋
展示物を見終わって最後には、このように動かしていますよというプログラミング画面が並んだ空間がありました。
さっき見た展示物が、裏側ではこんな風にリアルタイムで動かしているのか、と感慨深かったです。
プログラミングに挑戦したことがありますが、コードを打ってもまったく無反応で苦労したので、本当に尊敬します。
カメラにはまったく気がつきませんでしたが、未来的な防犯カメラのように来場者が映しだされていました。
オンラインでも開催
すべての展示物を見られるという訳ではありませんが、会期が終わってもオンライン会場で楽しむことができます。
さいごに
作品や制作過程、舞台裏まで見られて、ライゾマティクスの魅力を存分に体感しました。
高度な技術の裏には、ものすごい量のトライ&エラーの積み重ねがあり、それを知った上で見る完成作品には感動しました。
今後のライゾマティクスの活動も楽しみです。