こんにちは。イラストレーターのkisa(@kisa.ne.jp)です。
「フランスパンのようなかかと」など、会話の中で何気なくたとえて伝えることもあると思います。
今回は、「作品の表現力を上げたい」「コミュニケーション力を上げたい」とお考えの方向けに、「たとえる」ということについてお伝えしていきます。
たとえとは
たとえは別の言い方で比喩ともいわれますが、「ある物事を共通点や関係性のある他の物事に置きかえて表現すること」です。
作品におけるたとえ
サルバドール・ダリの作品の中でも、私が好きな「メイ・ウエストの部屋」を例に挙げてみます。
この部屋にはたとえがたくさん詰まっています。
「くちびるのようなソファ」
「鼻のような暖炉」
「イヤリングのようなカーテン留め」
そして「目が描かれているような絵画」はよく見れば、片方はタワーや橋がある景色、片方は湖のようなところに人が数人いる景色になっています。
これらが合わさり、ある場所から見ると「人の顔のような部屋」になります。
何かにたとえられていると「何これ」と引きつける要因になる場合が多々あります。
有名な比喩表現で、おいしいものを食べて「ほっぺたが落ちそう」というのがありますが、あれもイラストにすると結構なインパクトがあります。
コミュニケーションにおけるたとえ
突然ですが、あなたがとあるミスをしてしまい、落ち込んでいたとします。
そんなとき、どちらの言葉の方が励まされるでしょうか?
A「どうってことないよ」
B「カップラーメンの後入れ粉末を先に入れたくらい、どうってことないよ」
ありふれた形容詞にたとえが入ると、人は心動かされたり、面白い人だなと感じます。
また、難しげなこともわかりやすく伝えられたり、より深く感情を共有することもできます。
「ヤバイー」「カワイイー」だけでなく、どうヤバイのか、どうカワイイのか、たとえも取り入れながら感情を伝えられるような、語彙力のある人間でありたいものです。
たとえる力をつける
何か対象物を決めて、それに似ているものや色、情景などを探してみます。
「ガンダムの胸板のような収納ボックスだ」のように、「○○のような○○だ」と、○○のところを頑張って探して埋めることで、予想外なものがつながることがあります。
アイデアに困ったときにも使えますね。
これを繰り返してみることで、観察する力や想像する力が養われ、たとえる力を鍛えることができます。
また、比喩の一つでもある擬人化(人間ではないものに人間の特徴を取り入れて表現)してみることも練習になります。
さいごに
たとえなくても困らないですが、たとえる力があればさらに表現力やコミュニケーション力が豊かになります。
作品制作や会話の中で「たとえ」を意識的に取り入れてみてはいかがでしょうか。