• 現代アート界で有名な村上隆、草間彌生などスター6名の展示会「STARS展」

2020.11.22 2024.2.19 アート

現代アート界で有名な村上隆、草間彌生などスター6名の展示会「STARS展」

チェリーブロッサム フジヤマ JAPAN<2020年>

 
こんにちは。イラストレーターのkisa(@kisa.ne.jp)です。
世界が認める現代アートのスターたちの、初期作品と最新作とをつないで展示されている「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」を観に行ってきました。
今回はそのレポートをまとめたのでお伝えしていきます。

世界が認めるアーティスト6名

村上 隆

Ko2ちゃん(プロジェクト Ko2)<1997年>

会場に入ってまず、ウェイトレス姿のKoKoちゃんというフィギュアが展示されていました。
人間と同じくらいの大きさで迫力があり、「いらっしゃいませ〜!」とアニメ声が聞こえてきそうです。

 

阿像<2014年>

隣を見ると、さらに2.5m超えの巨大な赤鬼が立っていました。
数年前、かぼちゃ美術館で村上さんの「赤鬼と青鬼と48の羅漢」という絵を見たのですが、それが見事に実物で再現されていて圧巻でした。
また先日、鬼滅の刃の映画を見に行ったこともあり、もしこんな風に現れたら戦意喪失するなと、恐怖を体感しました。

 

マイ・ロンサム・カウボーイ<1998年>

お花モチーフの作品を撮っている方ばかりの中、こちらの作品を撮るのは少し勇気が入りましたが、肌の質感、造形がすごいクオリティです。

今から12年前の2008年、男の子の髪の毛が金髪バージョンのものが、サザビーズで16億円で落札されました。
初めて見たときは、なんて自由で開放的に表現しているんだ…と衝撃的を受けました。

 

村上 隆
1962年、東京都板橋区生まれ。日本の伝統絵画と現代美術の源流をアニメ・マンガの視覚論を通して再構想する「スーパーフラット」論を提唱。おたく文化を反映したキャラクターを多く生み出し、キッチュ性の高い彫刻作品と西洋の透視図を対極とする超二次元的な絵画を発表している。村上のサブカルチャーを基盤とする文化論は、高級/低俗のヒエラルキーを解体するだけでなく、戦後日本人の心理を批評的に描き出し、グローバル化が進むアート・シーンに日本固有の言説を確立した。また、ルイ・ヴィトンとのコラボレーションや、ストリートカルチャーと現代陶芸に着目した活動を通して、現代美術の垣根を超えた観客層を世界中で獲得し続けている。

一部抜粋

 

李 禹煥(リ・ウファン)

関係項<1969/2020 年>

李さんの展示スペースには、固められた砂利が一面に敷かれていて、足から伝わる感触が、美術館らしからぬ感じで面白かったです。

まず目に飛び込んだのが、大きな石がガラスに激突したような作品です。
自ら作ったものではなく、自然の石と工場で生産されたガラスとの「出会い」「関係」を考えさせられる作品です。
1969年に初めて制作された時は、大量生産を批判する風潮があり、環境のことを考えず、人間にとって便利で都合のいい世界にしていけば、自然という天罰がくるぞという意味にも取ることができます。

 

対話<2019年>

「対話」という作品には連作があり、この他にも色々あるのですが、これは中年の人間が頭の中で対話しているようなイメージに見えました。
赤銅のようなシックな色合いが落ち着く作品です。

 

李 禹煥
1936年、韓国慶尚南道生まれ、鎌倉在住。日本の高度経済成長期、近代への批判が国際的にも高まるなか、生産を否定し、ものや素材そのものを提示する彫刻の動向が生まれ、後に「もの派」と呼ばれる。そのなかで李はもの相互の関係性に意識を向けた制作を行う。日本の戦後美術への関心の拡がりや非欧米圏のモダニズムの比較研究とともに「もの派」が国際的にも再評価され、李禹煥の50年に亘る多様な実践にも注目が高まっている。

一部抜粋

 

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草間 彌生

ピンクボート<1997年>

詰め物が入った、ビビットなピンク色の縫製布で作られたボートとオールが、一際目を引きました。
草間さんの作品はすべて美術館や個人の方が所蔵されていた作品を持ち込まれたもので、こちらは名古屋市美術館に所蔵されています。

 

たくさんの愛のすばらしさ<2019年>

2009年から描かれているシリーズ「わが永遠の魂」の最近作です。
赤と黒のコントラストが印象的で、大小、カタチ、密度の違う愛がたくさんあってイメージが膨らみます。

 

草間 彌生
1929年、長野県松本市生まれ、東京都在住。1957年に渡米。画面全体に網目を描くネットペインティングや、布製の突起物が表面を覆うソフト・スカルプチュアを発表し注目される。これらの作品にみられる反復性は、幼少期から続く幻覚症状や脅迫観念の影響であり、草間の作品に通底する特徴を表している。1960年代後半にはファッション・ショーや反戦運動などのハプニングで話題となり、ニューヨークのアート・シーンにおいて重要な存在となる。1973年に帰国後も精力的な活動を続け、1990年代以降はパブリックアートや大型インスタレーションを数多く発表し、ポップな色彩と南瓜や草花など親しみやすいモチーフの作品は絶大な人気を博している。

一部抜粋

 

宮島 達男

「時の海—東北」プロジェクト(2020 東京)<2020年>

3.11の大震災をきっかけに、東北の人々と作り上げるアートプロジェクトです。
生命の永遠性を数字のLEDで表し、カウントするスピードを自分の想いで決めて参加するといった内容です。
将来的には、東北沿岸部の海の見えるところに設置される予定です。

デジタルの数字の明かりが点滅し、水の音が響いていて、とても幻想的な雰囲気でした。

 

30 万年の時計<1987年>

何時なのか判断が難しいですが、30万年の時を刻むことができるというデジタル時計です。
電気は持つのでしょうか…

自分が生まれてからこの世を去るまで、長い歴史と未来の中の、長くてたった100年なのか、と改めて思いました。

 

宮島 達男
1957年、東京都生まれ、茨城県在住。「それは変化し続ける」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」「それは永遠に続く」というコンセプトに基づき、数字が変化するデジタルカウンターを使ったインスタレーションや立体作品を中心に制作を行う。作品では時間という普遍的な概念を扱いつつも仏教的思想やテクノロジーという要素を融合させ、国際的評価を得ている。1996年には、長崎で被爆した柿の木を源とする苗木を世界各地に植樹する「時の蘇生・柿の木プロジェクト」を始動し、2017年からは、東日本大震災犠牲者の鎮魂と震災の記憶の継承を願い、「時の海―東北」を継続的に制作するなど、社会的な参加型プロジェクトにも力を入れている。

一部抜粋

 

奈良 美智

Lonely Moon / Voyage of the Moon<2006年>

直径1.8mもの巨大なお皿に描かれたような作品です。
繊維強化プラスチックに貼られた布にアクリル絵の具で描かれています。
ラメがキラキラしていて月のようにキレイでした。

大きな濃紺の壁の上の方にポツンとあるので、確かにちょっと寂しそうにも見えます。

 

Voyage of the Moon (Resting Moon) / Voyage of the Moon<2006年>

窓の明かりがあたたかい、家の上に月が乗っかったような作品です。
この物体が、これから宇宙を照らしながら旅するように見えます。

 

 
家の中を覗いてみると、子ども部屋のようなあたたかい部屋でした。

 

作家の部屋の中から<2020年>

レトロなおもちゃや本のコレクションが並んだかわいらしい一角でした。
「ならさんへ」とたくさんの子どもからのお手紙や作品をもらっていて、作品からして子どもを愛し愛されていると、ほっこりした気持ちになりました。

 

奈良 美智
1980年代よりドローイング、絵画、彫刻、写真、インスタレーションなど、様々なメディアで作品を制作しています。また、音楽への造詣の深さと愛、様々なクリエーターとの協働、ポップ・カルチャーと現代美術というジャンルを超えたスタイルでも知られています。子供、動物などが単純に抽象化され、デフォルメされて頻繁に登場する作品群は、親しみやすさと神聖さ、無邪気さと残酷さなど、一見相反する性格を共存させ、観るものの想像力を刺激します。近年では、穏やかで精神的な雰囲気を持つ肖像画も多数制作されています。

一部抜粋

 

杉本 博司

シロクマ<1976年>

真っ暗な展示スペースに浮かび上がるシュールな写真です。
本当にその場を撮影したのかと思いきや、剥製とのことで、魂が抜けているはずなのに生きているように見えるという、コンセプチュアルアートです。

実際に杉本さんがアメリカ自然史博物館にあるジオラマを片目を覆って見たときに、生きているような幻覚が見えたことがきっかけで生まれた作品だそうです。

 

Revolution 001 北大西洋、ニューファンドランド<1982年>

海なのに空と海が縦に二分割されているという大胆な構図です。
モノクロで表された光加減や揺らめきがクールです。


また、この展覧会が初公開の「時間の庭のひとりごと」という、杉本さんの人生の集大成とされる短編映画が上映されていました。
「小田原文化財団 江之浦測候所」の四季折々の映像と言葉が、日本の風情を感じさせてくれました。

 

杉本 博司
1948年、東京都生まれ、ニューヨーク在住。1970年に渡米しロサンゼルスで写真を学んだ後、1974年にはニューヨークに移住。現実と虚像の間を往来する「ジオラマ」、「ポートレート」、映画一本分の長時間露光による「劇場」、世界各地の水平線を撮影した「海景」など、初期から一貫して明確なコンセプトに基づいた写真作品を制作。

一部抜粋

 

 STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」

 ■期間 2020年7月31日(金)〜2021年1月3日(日)
     月・水〜日 10:00~22:00(最終入場21:30)
     火     10:00~17:00(最終入場16:30)
     ※会期中無休

 ■会場 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー(森美術館)
 https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/stars/

 

さいごに

写真撮影が不可なゾーンがありましたが、全員の生い立ちや名言などがまとめられていて、スターたちがどのように歩んで現在に至ったのかがわかりました。
60年前の作品から今年発表された作品まで、全国各地から集められたものを間近で見ることができて感慨深かったです。

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