こんにちは。イラストレーター・デザイナーのkisa(@kisa.ne.jp)です。
世はSDGs時代。
紙ストローで飲んでいてブニョブニョしてきても、我慢する時代である。
飲食業界やファッション業界などのほかに、デザイン業界でもサステナブルな取り組みが行われています。
今回は、多摩美術大学と企業のプロジェクト、「すてるデザイン〜ゴミを価値に変える100のアイデア」という展示を最終日に駆け込みで見に行って来ました。
上の画像は「やる気のない犬」と題した、廃棄自転車のチューブで作られたドアストッパーで、鼻の部分も含め見事に表現されています。
その他、アイデア満載の作品の中からいくつか抜粋してお伝えします。
Contents
- 1 すてるデザイン〜ゴミを価値に変える100のアイデア
- 1.1 バスケットボール選手のためのバッグ&御重を運ぶためのバッグ
- 1.2 好みの模様でスーツケースに愛着を
- 1.3 ネクタイを使用したサンダル
- 1.4 キーボードのサインツール
- 1.5 お椀を利用したコードケース
- 1.6 湯たんぽを用いたディスプレイ
- 1.7 廃材を活用した楽器
- 1.8 コーヒータンブラー用トートバッグ
- 1.9 飯盒を用いたスピーカー
- 1.10 双眼鏡を利用した虫かご
- 1.11 テニスボールを用いたクリップ
- 1.12 ワイングラスのカトラリー入れ
- 1.13 Halfn
- 1.14 紙100%のクマのぬいぐるみ
- 1.15 Eco Beauty Crayon
- 1.16 菓子パッケージ素材の提案
- 1.17 掃除機を利用した乗り物
- 1.18 トースターを利用した道具箱
- 2 さいごに
すてるデザイン〜ゴミを価値に変える100のアイデア
「すてるデザイン」は、2021年度より資源循環を目指すプロジェクトとして始まりました。
多摩美術⼤学×廃棄物の課題と真摯に向き合っている複数企業の共創プロジェクトで、さまざまな環境問題、社会問題の解決に取り組んでいます。
このプロジェクトで生まれたデザイン提案は、すでに一部が社会実装されています。
バスケットボール選手のためのバッグ&御重を運ぶためのバッグ
右はソフトアタッシュケースとパンツを使ったバッグで、大胆に開けた丸い穴にバスケットボールがカポっとはまっています。
半分出ちゃっているので、かさばらないのが良いです。
左はお重にピッタリサイズのバッグです。
ふろしきのイメージがありますが、ひっくり返しそうなので、これくらいしっかりしていると安心です。
好みの模様でスーツケースに愛着を
スーツケースの構成要素が分割されていて、修理性が高い仕様になっています。
スーツケースのグラフィックを変えられるので、飽き性でも自分好みにカスタマイズできるので愛着が湧き長く使えそうです。
ネクタイを使用したサンダル
汚れたり派手な柄で使わなくなったネクタイを使って、オリジナルのサンダルに様変わり。
サンダルのソール部分は3Dプリンターで出力され、ヒモの部分にネクタイをあしらっています。
キーボードのサインツール
マグネットやピンで留めるサインツールを、故障したキーボードから制作されたものです。
メッセージに添えるサインとして機能させることで、円滑に会話が進むことが期待されます。
一目で分かりやすく、レトロさも漂っていてカワイイです。
お椀を利用したコードケース
漆器の蓋2つを用いたケーブル収納ケースです。
ケース内側の支柱の切れ込みにケーブルを引っ掛けることができます。
お椀が欠けてしまっても、職人が手がけた美しい模様と艶のある器を、別の形で長く使えるとはすばらしいことです。
湯たんぽを用いたディスプレイ
伝統工芸品かと思いきや…湯たんぽ!?とギャップがありましたが、湯たんぽと言われるともう戻れず、それにしか見えなくなります。
傷や錆、足を接合して角度をつけることで陰影が生まれ、重厚感を出しています。
中はこうなっていたんですね。
廃材を活用した楽器
家具用品などのパイプには高さや長さを調節するための穴が複数空いていますが、それを活かしたクールなリコーダーです。
実際に楽器として使えます。
そういえば、ちくわ笛というのがありましたが、筒状で穴が空いていればサランラップの芯笛など、なんでもできそうですね。
ジャボニズムを感じるおしゃれな太鼓。
鍋の空洞を活かしています。
コーヒータンブラー用トートバッグ
白のボトムスをリメイクして、全体をコーヒーで染め上げたというトートバッグ。
上端と下端にタンブラーを入れるポケットがあり、うっかりこぼした場合でも目立たずに味が出るという、敢えてこぼしたくなるようなバッグです。
飯盒を用いたスピーカー
飯盒の中蓋を加工し、中古のスピーカーから外したパーツがはめ込まれています。
Bluetooth対応で、中蓋を閉じることで飯盒の内部空間が反響体になるという高機能さ…
ユニークかつおしゃれで、部屋に置きたい代物です。
双眼鏡を利用した虫かご
双眼鏡を覗くのと同じように、虫かごの中の虫を拡大して観察できます。
よくある緑色の虫かごみたいなおもちゃっぽさがなく、お抹茶をかき混ぜるアイテムのような和シックなデザインが新鮮です。
テニスボールを用いたクリップ
テニスボールをカットすると、内側のゴムの弾力によって噛み付くような動きがでることから生まれたアイデア。
歯の形のピースを3Dプリンターで出力してテニスボールにはめ込み、食べかけのお菓子の袋もガブっと留めてくれます。
ワイングラスのカトラリー入れ
切子模様が美しいワイングラスの支える台をスパッと切り、逆さまにしてカトラリー入れの蓋にするという大胆な発想。
本体部分は3Dプリンターでワイングラスの口に合うよう設計され、フランフランで売っているような女子ウケ抜群のデザインです。
Halfn
ひとくちを半分にするスプーンで、すくえるスペースが小さくなっています。
よく噛んで食べることで胃の負担を減らし、満腹感で早食いや食べ過ぎを防ぐことで健康的になることを目的としています。
ダイエッターとしては、取り急ぎティースプーンで試してみよう。
紙100%のクマのぬいぐるみ
紙でできた服があるくらい、紙は意外にも頑丈です。
初めは紙のハリがあるけど何度も撫でたり抱っこすることでシワがつき、繊維がほぐれてやわらかくなっていくそうです。
修正したい箇所ができても、紙を貼り合わせるだけででき、お気に入りの包装紙でカスタムできる楽しみもあります。
Eco Beauty Crayon
友人にもビックリされるほど化粧品の減りが遅いのですが(引きこもりなだけ)、実は化粧品には消費期限があるらしく、マスカラの場合3~6ヶ月ほどとされています。
消費期限の切れた化粧品をユーザーから回収し、それを原料にしてクレヨンに生まれ変わらせたものです。
化粧品の鮮やかなカラーを閉じ込めたクレヨン、どんな描き味か気になる。
菓子パッケージ素材の提案
菓子パッケージにはプラスチック包装が用いられることが多く、素材としてリサイクルされにくい特徴があります。
その理由が油汚れが付着しているためリサイクルコストが高く、多様なプラスチックが使われてることから、なかなか難しいようです。
そこで洗ってリサイクルされている牛乳パックの回収システムを活用し、菓子パッケージの素材として用いてリサイクルするというアイデアです。
既存の牛乳パックのフォルムから幅広く変貌を遂げています。
掃除機を利用した乗り物
幼児が乗れる掃除機をベースとした、足で地面を蹴って自由に方向を変えて前進するタイプの乗り物です。
掃除機のタイヤを活用し、掃除機のブラシヘッド部分をハンドルに使用しています。
本来なら粗大ゴミとして捨てるところを、子どもが喜ぶおもちゃに変身させて、環境的にも経済的にもやさしいですね。
トースターを利用した道具箱
故障して使えなくなったトースターの外装の金属部分を活かして、ボディを横向きに配置した道具箱。
収納スペースを増やすため、赤いカバーを一度はずして3Dプリンターで一段増設されています。
引き出し部分がちゃんとこんがり食パンカラーになっているデザイン、さすがです。
すてるデザイン〜ゴミを価値に変える100のアイデア
・会 期 2023年1月20日(金)〜30日(月) 入場無料
・時 間 11:00〜20:00(最終日のみ18:00まで)
・アクセス GOOD DESIGN Marunouchi
(東京都千代田区丸の内3-4-1新国際ビル1F)
さいごに
古くなったり壊れてしまったものでも、アイデア次第でさまざまなユニークなものに生まれ変わるのかと、ワクワクしながら鑑賞しました。
結構3Dプリンターを活用していたものが多かったので、無限の可能性を感じました。
普通のプリンターしか使ったことがないので何かしらの形で使ってみたくなりました。
そして多摩美大生がキラキラした表情で作品の説明をしてもらいましたが、フレッシュで心強いパワーも感じました。
自分も簡単に捨てる前に何かで再利用できないかとか、仕事でも環境に配慮したデザインについて今一度考えてみようと思います。